「OTOMIC Lab. vol.2 学びと実践を繰り返し、新たなユニバーサル・コンサートをつくるプロジェクト」は、音楽ワークショップ・アーティスト おとみっくが中心となり、障害当事者や専門家と共に「学び」と「実践」を繰り返しながら、様々な背景を持つ鑑賞者が主体的に参加することが出来る “新しいユニバーサル・コンサート”の実現を目指します。

今、IROHAMOがこの事業に取り組む理由

一般社団法人IROHAMOは、音楽ワークショップ・アーティスト団体「おとみっく」の活動を基盤として、2024年4月に設立しました。

 私たちは”音楽とともに、ボーダーをこえる出会いと体験をデザインする”をミッションに掲げ、年齢や障がいの有無を問わず、すべての人が音楽を通じて「つながり」「表現し」「共に創る」体験ができる場を目指し、これまで、劇場、学校、福祉施設など、多様な場で公演やワークショップを展開しています。

近年、文化芸術分野でもアクセシビリティの重要性が強調されていますが、その多くは「既存の公演に手話や字幕を加える」といった補助的な取り組みにとどまっています。私たちは、鑑賞環境の整備に加えて、プログラムの内容そのものを工夫することで、多様な人々がそれぞれの方法で鑑賞・体験をより楽しめる公演をデザインできると考えています。

そのため、本プロジェクトでは、アーティストや制作者が障がい当事者や専門家と対話を重ね、「鑑賞体験」そのものを問い直しながら、誰もが“参加者”として関われる新しいユニバーサル・コンサートのモデルづくりに挑戦します。

IROHAMOは、アーティスト団体であると同時に、制作者・教育者・マネジメントの視点をもつ中間支援組織でもありたいと考えています。単なる公演実施にとどまらず、プロセスで得られた知見を社会に還元し、他のアーティストや文化施設とも共有する「実践知のプラットフォーム」として、この事業を推進していきます。

目的とビジョン

既存の“補助的な”バリアフリー公演とは異なる、「障害当事者が主体的に関わり、共に創るコンサート」の創出

*観客が“受け手”で終わらず、ともにコンサートという空間創造の担い手となる芸術体験を
*視覚・聴覚・言語の多様性を“制約”でなく“可能性”ととらえる場づくり
*制作過程に当事者の声を反映し、文化施設との連携による持続可能なモデルを構築
を目指します

本プロジェクトは、単年度の試みではなく、3年間継続して実施することで、より効果的な試行錯誤とモデルの確立を目指します。
1度限りの公演では、多様な障がい当事者やアーティストとの対話を十分に重ねたとは言い難く、より本質的な変革には時間を要するためです。
1年目はリサーチと試験的な実施を中心に行い、2年目に本格的な公演モデルの開発、3年目にはその成果を普及・発展させ、他の文化施設やアーティストと共有する仕組みを構築します。

ラウンドテーブル&音楽ワークショップ
スケジュール/内容

2026年3月20日のコンサートに向けて、当事者との対話行うランドテーブルと、それを踏まえた実践を試行するワークショップを実施します。

主な参加対象
*ユニバーサル/インクルーブ公演を行いたいと考えているアーティスト
*ユニバーサル/インクルーブ公演で音楽家との協働を行っている/行いたい、文化施設職員・公演主催者
*ユニバーサル/インクルーシブ公演について興味がある方

■ラウンドテーブル&ワークショップ全回会場
調布市グリーンホール小ホール

参加料
4回セット 5,500円
単回 1,000円(10/17のみ)/2,000円(2-4回目)
ご購入はPeatixにて🎫

2025年10月17日(金)
ラウンドテーブル 19:00-21:00
テーマ:これまでのインクルーシブ・コンサートをともに振り返る

これまでの取り組みを知り、インクルーシブな芸術鑑賞・体験において、現在重要視されている内容と課題を考えます。
※この日はワークショップの実施はありません。

長津結一郎(九州大学准教授)
渡部和哉(公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団職員)
坂本夏樹(一般社団法人IROHAMO代表理事/おとみっく 代表)

2025年11月18日(火)
ワークショップ 18:30~/ラウンドテーブル 19:00-21:00
テーマ:支援が必要な子どもたちと舞台芸術をつなぐ方法を探る①知的障害・肢体不自由

支援な必要な子どもたちとの芸術鑑賞・体験において、どのような配慮や工夫が必要か学び、新たな方法を考えます。

長津結一郎(九州大学准教授)
武藤紗貫子株式会社人と音色 代表取締役)
岩永洋平瑞宝太鼓 代表)
坂本夏樹(一般社団法人IROHAMO代表理事/おとみっく 代表)

2025年12月23日(火)
ワークショップ 18:30~/ラウンドテーブル 19:00-21:00
テーマ:支援が必要な子どもたちと舞台芸術をつなぐ方法を探る②聴覚障害・ろう

ろうの当事者とともに、聴覚障害者・ろう者がどのように舞台芸術や音楽を味わっているかを学び、芸術鑑賞や体験の方法を考えます。

長津結一郎(九州大学准教授)
岡﨑伸彦一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioi 代表理事/ろう当事者)
中川綾二一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioi理事/ろう当事者)
坂本夏樹(一般社団法人IROHAMO代表理事/おとみっく 代表)

2026年1月30日(金)
ワークショップ 13:30~/ラウンドテーブル 14:00-16:00
テーマ:アクセシビリティの多様な視点

舞台芸術をつくる上で必要なアクセシビリティを学び、環境づくりについて考えます。

長津結一郎(九州大学准教授)
廣川麻子NPO法人シアターアクセシビリティネットワーク 代表理事)
岸本匡史(穂の国とよはし芸術劇場 芸術文化プロデューサー)
坂本夏樹(一般社団法人IROHAMO代表理事/おとみっく 代表)

コンサート
2026年3月20日(金祝) 調布市民会館たづくり

ラウンドテーブル&音楽ワークショップでの学びを還元し、一般のお客様を迎えて「新しいユニバーサル・コンサート」の第一歩を踏み出します。

主催:公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団

実施体制

本プロジェクトは、一般社団法人IROHAMOのアーティスト、スタッフが主体となって取り組みます。

公演・ワークショップ出演:坂本夏樹、桜井しおり、松下眞子、池田恭子
制作:大丸敦子、鈴木智之、北沢理美

アドバイザー:長津結一郎(九州大学准教授)
記録執筆:遠藤ジョバンニ

主催

一般社団法人IROHAMO

協力

公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団

助成

アーツカウンシル東京[芸術文化による社会支援助成]

Arts Council Tokyo logo

協賛

合同会社Office Marco